奈良県暮らしの道具デザインコンペ
良質材の生育に適した稀有な自然環境と伝統の林業技術により丹念に育てられた吉野材は、年輪幅が細かく均一で無節、完満通直・真円で強度が高く、美しい色艶と癒される香りを持つという特徴により、古くから樽材や建築材として親しまれてきました。今一度この材の特徴を見つめ直し、現在の生活様式に適した商品を開発することによって、林業の復興を図ることができる可能性があります。
以上を踏まえ、このたび奈良県では、吉野材の良さを活かしつつ現代の嗜好に受け入れられる「暮らしの道具」のデザインコンペを実施することにより、吉野材のブランドイメージを再発信することとしました。
デザインコンペの結果
7月13日に開催された最終審査会において、以下の作品が受賞されましたのでお知らせいたします。
■最優秀賞 ・・・ 1作品
『割り鉛筆』 吉富 寛基(よしとみ ひろき)さん
■優秀賞 ・・・ 4作品
『一輪挿し』 大塚 聡(おおつか さとし)さん・三浦 寛慈(みうら かんじ)さん
『スツール』 平瀬 祐子(ひらせ ゆうこ)さん
『ランチョンボード』 南 政宏(みなみ まさひろ)さん
『プレート皿』 斎藤 信吾(さいとう しんご)さん
優秀デザイン および、審査委員長講評
■最優秀賞 『割り鉛筆』
(下川審査委員長の講評)
最優秀賞を獲得した「割り鉛筆」は、以下2つの点で他の応募作品を大きく上回る価値を持っており、これらの点を審査会が高く評価し、最優秀賞に決定した。1つは、割り箸という日本の文化を鉛筆に取り入れることで、使い手に新鮮で豊かな体験を提供した点。使い手は鉛筆を、あたかも割り箸を割るように1本ずつ切り離し、そのたびに新たな気持ちで鉛筆に向き合う。また、素材に指定された吉野杉は、柾目に沿ってきれいに割れる性質を持っている。そのため、吉野地方には高級割り箸産業が根付いており、関連技術も集積している。2つめは、こうした吉野地方の素材と技術を探り、そこに正面から踏み込んだ点である。
■優秀賞 『一輪挿し』
(下川審査委員長の講評)
優秀賞を獲得した「一輪挿し」は、フォルムの美しさもさることながら、風を受けて本体が揺らぐ、その振る舞いの優雅さが評価された。均質で、バランスの良い吉野材の特徴を、動的なデザインにうまく取り入れた点が秀逸である。
■優秀賞 『スツール』
(下川審査委員長の講評)
優秀賞「スツール」は、小振りな雑貨や道具の応募が多いなか、家具と道具の中間領域を探る提案に独自性があった。
形や機構のユニークさに加え、モバイル性を強調している点に、木材を使った家具や道具としてのスツールの新しい役割を感じられた
■優秀賞 『ランチョンボード』
(下川審査委員長の講評)
優秀賞「ランチョンボード」は、極めてノーマルなフォルムを持っている。しかしその形は、デザイナー自身が作り、生活の中で検証したうえで自信を持って提案したデザインである。
使いやすく、吉野杉の端正な柾目を生かす形でもある
■優秀賞 『プレート皿』
(下川審査委員長の講評)
優秀賞「プレート皿」は、簡素な工程で製作できるプロダクトでありながら、吉野檜の目のつまった柾目や、部位によって異なる発色を、製品の魅力としてうまく引き出している。
誰もが、一度は、その優雅な木肌に触れてみたい魅力に満ちている。
デザインコンペの募集内容
● デザイン等仕様は、量産可能なものであること(最終候補に残ったデザインについては、実際に吉野材を使用して試作することから、木材で製作可能なデザインであること)
● デザインは出展者自ら創作したもので、未発表作品に限る(未発表作品とは、他のデザインコンペ、展覧会、新聞、雑誌等で公表または応募していない作品のことをいう)
●「吉野材」を主の素材として使うもの(その他の素材についても極力奈良県産のものを用いること)
● 市場性があるもの(多くの人が使いたいと思うデザイン)
● 首都圏をはじめとして、国内外に広く受け入れられるもの
● 現代の生活様式に適したもの
●「吉野材」「奈良県」の精神的背景が感じられるもの
●「吉野材」の可能性を引き出したもの
※ 審査時のポイントとしては、上記の点を満たす作品を中心に選定し、その後の商品化を視野に入れて選定します。





